ウレタン樹脂系塗料は柔らかく密着しやすいのが特徴で、万能な塗料として知られており、以前は主流な塗料として使用されていた。細部の塗装にも適していることから、現在でも一部分だけウレタン塗料を使用することも多い。流通量が多いためコストが低く、できる限り費用を安くあげたい、という場合に用いられる塗料でもある。シリコン樹脂系塗料と比較すると、多くの点で性能に劣る。
シリコン樹脂系塗料は、近年、外壁や屋根の塗料として最も幅広く使われている。流通量が多いためコストが低く、また耐久性もよいため、コストパフォーマンスに優れる。樹脂の特徴として耐熱性が高いため、夏場に高温になりやすい窯業系サイディングボードの塗り替えに適している。
ラジカル制御形塗料は、外壁塗膜を劣化させる原因(紫外線や風雨など)によって発生する因子である「ラジカル」の発生を可能な限り抑える効果がある塗料。ベースはアクリル樹脂やシリコン樹脂などの従来の塗料であり、より高性能な機能を付し耐久性を高めた塗料。ラジカル制御形塗料は従来の塗料に機能をプラスしたものであるため、費用も従来のものと大きくは変わらない。市場流通開始から6年弱と比較的新しいため、知名度は高くないが今後主流になる見込み。
フッ素樹脂系塗料は、ウレタン樹脂系塗料やシリコン樹脂系塗料に比べて寿命が長いのが最たる特徴。高価ではあるが長期間の耐久性が期待できる。一般的には3フッ化フッ素が主流であるが、さらに耐久性の高い4フッ化フッ素樹脂塗料も存在する。
※「フッ素加工」という言葉のイメージから「硬い塗膜=割れやすい」と認識されがちだが、近年のフッ素樹脂系塗料は柔軟性にも優れ、その他の塗料と比しても割れやすいということはない。
無機系塗料は無機物(ガラス・鉱物等)を含む、現存する塗料グレードの中で最も耐久性の高い塗料。塗料単価は高いものの、長期耐久性から塗り替えの間隔はあくため、トータルコストとしての経済的な負担が軽くなることが見込める。炭素が限りなくゼロに近いので有機塗料に比べると燃えにくい。一般的に無機系塗料は柔軟性を発揮しにくい性質があるが、有機を一部含ませた柔軟性(微弾性)を有する「無機有機ハイブリッド塗料」もある。
※無機物建材である屋根瓦のように紫外線や風雨にさらされても長期間劣化せずに長持ちするが、無機塗料は完全に無機物だけでできているわけではなく、多少の有機物が含まれているため、自然の鉱物のように半永久的に持つわけではない。